“もえさん”やスタッフたちが、興味を持っている出版物を好き勝手にご紹介♪

『恋する空港 あぽやん2』
 新野 剛志 著 
 本体価格 : \1,600 + 税
 2010年6月初版 / 文藝春秋


今回は、以前にご紹介した 『あぽやん』 の続編です。
大航ツーリストに勤める遠藤慶太は、配属先の成田空港で 「スーパーバイザー」 として旅客を無事に飛行機に搭乗させて送り出す仕事を始め、2年目を迎えました。新しく異動してきたスタッフの指導に手こずったり、慶太を 「成田空港」 勤務に追いやった張本人の元上司が同じく成田勤務となり再び上司になってしまったり、空港内では相変わらず様々なお客さまのトラブルに巻き込まれたり etc・・・。そして、タイトルに 『恋する空港』 とある通り、慶太はいつも身近にいた存在に対しての自分の気持ちに気づくことに・・・。
『あぽやん』 同様に楽しく読み進められ、『あぽやん2』 では一段と逞しく成長した慶太の頼もしい姿に出逢えます♪
                                                 Ulara☆

『阪急電車』
 有川 浩 著 
 本体価格 : \1,400 + 税
 2008年1月初版 / 幻冬舎


京都生まれの私には、馴染みが深い阪急電車。小さい頃嵐山の近くに住んでいた私にとって、あずき色の車体はデパートに行く時に乗る、ワクワクする乗り物で、タイトルに惹かれて手に取りました。残念ながら、舞台は京都線ではなく今津線。宝塚駅から西宮北口駅を経て今津駅までを結ぶ、8駅片道わずか15分のローカル線で、この小説はその各駅を舞台に乗客が織り成す様々なエピソードを綴った短編小説です。主な登場人物は、婚約者を同僚に取られた美人OL、図書館で知り合った若いカップル、DVの彼氏をもつ女子大生などで、特に美人OLのささやかな復讐?にはドキドキしてしまいます。私自身も阪急電車に一緒に乗り合わせた気分で、頭の中に社内の情景を思い浮かべながら一気に読みました。みんなハッピーエンドとまではいきませんが、前向きな気持ちになるほのぼのとした雰囲気の1冊でした。
今春2011年には映画も公開されるそうです。
                                                  MOON

『氷姫』
 カミラ ・レックバリ 著  
 本体価格 : \905 + 税
 2009年8月初版 / 集英社文庫

スウェーデンの若手人気作家によるミステリです。これまでミステリといえば、アメリカやイギリスものに触れることが多かったので、スウェーデン作家というところに惹かれて手に取りました。スウェーデンといえば福祉とデザインと自然豊かな寒い地、という貧しい知識しか持っていなかったこともあり、未知の習慣や人間関係を探るのも楽しみだったのです。ところが、さすがに人名や地名は新鮮だけれど、人は基本的には共通だなと思いました。確かに法律や人と接する間合いなどの違いは感じるものの、それぞれの悩みや犯罪や社会問題は変わることがないのです。ただ、殺人事件を題材にしていながら北欧らしい清れ冽さが全編通して感じられます。リアルなのに凄惨さは感じられず、とても透明感にあふれています。
おもしろいことにスウェーデンはミステリ大国らしく、ほとんどの書店が書籍を 「ミステリ」 と 「ミステリ以外」 に分類しているほどとか。日本でももう少し翻訳本が増えるといいなあと期待しています。
                                                    きなこ


『あぽやん』
新野 剛志 著 
本体価格 : \1,800 + 税
2008年4月初版 / 文藝春秋


関西弁の 「あほやなぁ〜」 のニュアンスにも似ていて、どこかユーモラスな “あぽやん” という響き。「なんだか面白そう♪」 とタイトルに惹かれて読みたくなり、手に取りました。
“あぽやん” とは、数々のトラブルを拝し旅客を無事に送り出す為に空港で働く人たちのこと。
大航ツーリストに入社以来、本社の陽の当たる部署にいた主人公の遠藤慶太・29歳は、「何のキャリアにもならない」 と社内で敬遠され閑職の位置づけである成田空港勤務へ異動になってしまいます。 配属早々に恋人と別れることにもなり、すっかり意気消沈しヤル気のでない
慶太でしたが、旅客たちに起こる様々なトラブルに対応していくうち、次第に “あぽやん” という仕事にやりがいを見出し始め、最初は苦手意識のあった同僚たちとの間に絆も生まれ、そして新たな恋の気配も・・・。 “お客様” の気持ちを第一に考えるが故に、パスポートを破ってしまったり、家族で旅行へ出掛けるはずがパスポートを忘れ一人残るはめになってしまった傷心の少年を元気づけようと奮闘したりetc・・・。
空港で繰り広げられる旅客たちとあぽやんたちとのやりとりは、読みながら一緒になって憤慨したりほろりときたり可笑しかったりと、ページを捲る毎に “面白さ” がUPしてきます。
次回の海外旅行の折には、実際に空港で働く “あぽやん” たちの仕事ぶりに注目してしまいそうです♪
                                                    Ulara☆


『螺鈿迷宮』 (らでんめいきゅう)
海堂 尊 著
本体価格 : \1,600 + 税
2006年11月初版 / 角川書店


現役の医師 (勤務医) が書いた医療ミステリーということで話題になり、ベストセラーとなった
『チーム ・ バチスタの栄光』 のシリーズ第3弾なのですが、他のシリーズ作品よりもサスペンス色が濃くて最後まで面白さが続く作品だと思います。
舞台になるのは、終末期医療の先端施設としてメディアの注目を集める碧翠院桜宮病院。夏休みの間、ある目的の為に看護ボランティアとして桜宮病院へ通うことになった落ちこぼれ医学生の天馬大吉は、入院患者が次々と死んでゆくことに疑問を抱きます。 さて、その死の裏には何が隠されているのか?真実が分かった後に待っていたのは、衝撃的なエンディング。
背筋がぞくっとすると同時に、この先のストーリーを色々と想像してしまう極上ミステリーです。
そして、登場人物の一人である白鳥圭輔の言動にはついつい笑ってしまうので “もえさん” も
私も、彼の大ファンなのです。要チェックですよ!
                                                  アマガエル


『夜 市』
 恒川 光太郎 著
 本体価格 : \1,200 + 税
 2005年10月初版 / 角川書店


「今宵は夜市が開かれる。夕闇の迫る空にそう告げたのは、学校蝙蝠だった。」
これまでに色々な物語を目にしてきましたが、こんなに素敵なフレーズで始まる物語はそうはありません。恒川光太郎氏が作りだす世界はどことなく切なくて優しくて、その幻想的かつ理性的な文体は私たち読者を魅了し、その不思議な世界に誘います。風景ひとつひとつが映像として浮かび、まるで目の前で見ているような感覚になれるファンタジックホラー小説です。
内容はというと───
夜市。それは、妖怪たちが様々なものを売っているちょっと不思議な夜の市で、望むものが何でも手に入るという魅力的なシステムですが、逆に、何か手に入れないと絶対に帰ることができません。小学生の頃に弟と二人でこの夜市に迷い込んだ裕司は、幼い弟と引き換えに「野球の才能」を手に入れるのですが、弟に対する罪悪感が日を追うごとに大きくなっていきます。 10年経ち、弟を買い戻すために再び夜市を訪れたのですが・・・。
思いもよらない展開に驚き、胸が痛くなりました。読後感はさまざまでしょうが、面白い物語を読んだという満足感は誰にも共通すると思います。
                                                   マルモ